熱い話![]()
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署内には大きくわけて消防係と救急係があり、僕が所属しているのは消防防災課の消防第一係という部署です。火事が発生すると、消火栓から水をひいて消火活動をおこなうポンプ車に乗って出動します。消防車は、市民の方々からおあずかりしている大切なもの。毎朝、火事や事故がありませんようにと祈りながら磨いたり、整備をしたりしています。
僕たち隊員は、中隊長や小隊長の指示のもとで活動します。火災発生時に限らず、たとえば高速道路で事故があったときなどは救急車と共に出動し、危険な事故現場で救急隊が安全に活動できるように管理する、という役割を担うこともあります。
萩原さんが担当しているポンプ車、いつもピカピカの状態に保たれている父も消防士で、物心がついたときからその背中を見て育ち、いつか僕も消防士になりたいと思っていました。もうひとつの大きなきっかけは、阪神・淡路大震災です。僕は生まれたばかりだったのでもちろん記憶はありませんが、震災によって、兄と祖母という2人の身近な存在を亡くして…。あのとき、僕は生まれたばかりで何もできなかったけど、これからは何かあったときに人を助けられる立場でいたいなと思ったんです。
家では父と仕事の話をほとんどしませんが、わからないことなどを聞くと、ていねいに教えてくれます。あまり多くを語る父ではありませんが、僕は父の背中を見て学んでいるのだと思います。

僕は、興味のあることには負けん気を発揮するタイプかもしれません。消防士になったこともそうですし、趣味などにおいても全力を尽くす傾向があるような気がします。若いうちに、できることをしておきたい。幼くして亡くなった兄にも、生きていたらたくさんやりたいことがあったんじゃないかと思うんです。だから僕は兄の分まで精一杯、今できることをして、悔いのないように生きていきたいと願っています。

火災現場で炎に囲まれている人を、建物の中に入って身ひとつで救助したり、高い所にいる人や、穴に落ちてしまった人などを助けたりするのが救助隊です。体力や知識をはじめ、的確な判断力が求められる命がけの仕事ですが、自分の身体を張って、前線で人を助けられるようになりたい。父も救助隊を長く務めているので…いつか僕もそうなりたいんです。
萩原さんのさらなる夢は、救助隊として前線で人を助けること日々の訓練では、1秒でも早くと気持ちが先走ってしまうこともありますが、あせると失敗を招いてしまうので、冷静でいるように心がけています。的確な指示が出せるリーダーになれるよう、トレーニングや現場での活動を重ねていくしかないなと思っています。
あらゆる面で頼りになる、中隊長の森岡さんとともに僕は生まれも育ちも神戸で、20年間ここで生きてきました。これからも神戸で暮らし、消防署に勤務し続けるだろうと思います。阪神・淡路大震災でまちがこわれた状態を実際には見ていませんし、きれいな神戸しか知りませんが、このきれいな状態を保てるように、神戸のまちを守っていきたい。そして、どんな災害が起きても市民の方々を守れるように、常に現場の最前線で活動したいと思っています。