
2014年に設立された防災女子は、神戸学院大学現代社会学部社会防災学科の女子学生で構成されています。“女子力で災害を乗り切っていこう!” をコンセプトに、一人でも多くの女性、そして家庭・地域社会へ「やってみたくなる防災」を伝えていけるように防災啓発を行っています。
2014年に設立された防災女子は、神戸学院大学現代社会学部社会防災学科の女子学生で構成されています。“女子力で災害を乗り切っていこう!” をコンセプトに、一人でも多くの女性、そして家庭・地域社会へ「やってみたくなる防災」を伝えていけるように防災啓発を行っています。
防災女子は、「食」をテーマとし、災害が起こったときに役立つ「災害食」についての啓発を行っています。地域に寄り添うものから、企業との共同プロジェクトまで、幅広く活動しています。
普段はどのような活動をしていますか?
大学で防災を専門に学ぶ決断をし、防災女子として活動する3人。それぞれが防災女子の活動に対して考えていることをお聞きしました。
稲塲さん:防災女子に入らなかったら絶対に足を運ぶことがないであろう場所に行けたり、出会うことがなかったであろう方々に会えたりするのが、個人的にモチベーションに繋がっています。
山室さん:いろんな人と会って、その人の経験も一緒に共有出来るのがいいところだと思います。あと、大学内だと先輩後輩はあまり会えないから、こういう活動の場でメンバーと会って喋ることを楽しみにして参加しています。
黒田さん:大学で学んでいる防災をインプットするだけでなく、アウトプットできる場所があったらいいなと思って防災女子に入りました。イベントなどで他の団体さんと交流する機会があって、その方たちから新たなお話を聞けるのがとても楽しいです。
活動中にしんどいなと思うことはありましたか?
山室さん:イベントに出展して試食を配布する際は、たくさんのお客さんが来てくれる時もあって、その時はすごく忙しいです。逆に全然来てくれない時もあって、そういう時はやっぱり防災に興味が無いのかなと思って寂しいときはあります。
2024年で設立10周年となりましたね。なにか意識していることはありますか?
山室さん:初代の時の思いと今の思いが一緒なのかな?というのが少し気になっていたのですが、ちょうど6月に設立10年の記念パーティーをしたので、その時に答え合わせというか、そういうのはできました。概ね初代の時と今のメンバーの思いは同じでしたが、その時の流行りと今の流行りは違うので、どうしたらいいですかという相談も先輩方にはさせていただきました。10年かけて大きくなった団体で、命に関わる防災を扱っているので、楽しくしつつもしっかり活動しないといけないとは思っています。
防災女子ならではの強みはありますか?
山室さん:食に関する啓発をしているので、意外と災害時でもおいしいご飯があるということを伝えられる点は、防災女子の強みかなと思っています。防災イベントに参加する際、私たちは、ご飯を試食してもらっている間に参加者とお話しできるので、そこが強いところだと思います。災害時の食事は大切なのに意外と考えていない人が多くて、全国の家庭での食料備蓄率は、ある調査だと5割くらいだと言われています(令和元年「国民健康・栄養調査」の結果より)。そういうことを参加者の方にお伝えすると、そういえばやってないなと気づいてくれます。「備蓄」と聞くとすごく難しいものに聞こえるけど、私たちが啓発しているのは、ローリングストック等、日常に溶け込めるものなので、「自分たちでも備蓄できるんだ」と、小さい子どもからご高齢の方までみんなに気づいてもらえます。
防災活動に携わる中で大事にしていることはありますか?
山室さん:防災の分野で中心となっているのは男性が多いです。でも、女性がいないと女性の問題はわからないと思うし、そのことに気づいてもらうためにも自分たちの存在があると思っています。男性でちょっと年上の方、やっぱり中年以上の方が取り仕切ることが多いからこそ、若い女性の目線が足りてないということに気づいてほしいな、という思いは大事にしています。
稲塲さん:自分たちの活動がメインで扱っているテーマではないですが、防災活動に取り組んできた中で、避難所等での女性問題は課題だと感じています。そういった部分を世間に注目してもらうためにも、若い女性が取り組んでいる自分たちの活動を皆さんに知ってもらいたいなと思います。
最後に震災を経験していない方々や同世代に向けてメッセージお願いします。
山室さん:日本は防災の日が決まっていたり、過去に大きな災害を経験している分、防災に触れる機会が多いと思うので、そういうときだけでもいいから防災のことを考えて、自分に出来そうなことからしてほしいです。あと、若いからこそ大人への影響も大きくて、自分から家族の人に話してみれば巻き込んでいけるんじゃないかなと思うので、恥ずかしがらずに面と向かって話してほしいなと思います。
黒田さん:イベントや最近だと100均等でも防災コーナーを見かけると思うし、そういう「防災」っていう文字を見たときに、そういうふとした時に自分はできているかな?と、考えてくれたら嬉しいです。
稲塲さん:防災となるとやっぱり、どこか他人事のイメージがあると思うのですが、他人事だと、いざ災害が起きた時には 自分の命も危ないと思うので、自分事として捉えてもらえたらいいなと思います。私も震災は経験してないので、 どこか他人事だった時もあったのですが、自分事でとらえることで見方も変わってくるので、ぜひ「自分事」で捉えていきましょう。
山室さん:地域や学校、企業などからお声がけをいただき、「災害食」を中心に、ブース出展やワークショップなどを通して、多くの人に防災を伝えています。具体的には、備蓄方法の一つである「ローリングストック」(日頃から多めに買っておき、それを期限が切れるまでに食べ、食べた分だけ買い足すというサイクルをまわすことで、常に食材が備えられている状態を保つ備蓄方法)の推奨や、ライフラインが止まったときでも使える「ポリ袋調理」の紹介、体験ワークショップの実施、そしてローリングストック食材を使ったアレンジレシピの提案をしています。