
災害時には、地域での救助・消火活動を行い、平時においては、訓練等の防災活動に取り組んでいる消防団。そんな消防団に阪神・淡路大震災当時から在籍し、現在は長田消防団の副団長を務めている宗國さんにお話を伺いました。
災害時には、地域での救助・消火活動を行い、平時においては、訓練等の防災活動に取り組んでいる消防団。そんな消防団に阪神・淡路大震災当時から在籍し、現在は長田消防団の副団長を務めている宗國さんにお話を伺いました。
普段はどのように活動されていますか。
長田消防団は何名ほどで活動していらっしゃいますか。
宗國さん:長田区内で約150人です。色んな分団を合わせて150人。ちょっとずつ若い子も入ってきていますね。現場に行って迅速に動くためにも、若い人に入ってもらうことが重要なので、若返りは一生懸命取り込まないといけないことだと思っています。50代の自分が若いと言われる世界なので、若い子たちに興味を持ってもらえるようにしていきたいです。
阪神・淡路大震災当時の様子を教えてください。
宗國さん:地震が発生してすぐ表に出ると、既に3箇所ぐらいから煙が上がっていました。当時僕が在籍していた消防団では、地震が発生したときに、どこに集まるという取り決めがしっかりされていなかったと思います。だから自分の子供の安全確認を行った後、消防服を着てとりあえず外に出たといった感じでしたね。正直言ってあれだけ大規模な地震を想定した訓練は行っていませんでしたし、頼りにしていた消防職員も道がふさがったり、手いっぱいだったりで、なかなか現場に来ることもできませんでした。僕が1人で消防服を来て現場に出て行ったところで、何の役にも立てなかったように思いました。いざ救助が必要な人に遭遇しても、物を人力で取り除くぐらいが関の山で、どこの資材を使うとか、気が動転して、そういう発想に至らなかった。普段からそういう訓練ができていませんでしたから。
それからしばらく経って電気が通るようになると火事が増えたんですよ。潰れた家にも電気が通るようになるのですが、ブレーカーがついたままだったりするので、漏電を起こして火災が起きるっていう。今は揺れを感知したり、振動で落ちる感震ブレーカーというものがありますが、そういった備えは重要ですね。
地震に備えて何に取り組むべきだと思いますか
宗國さん:まずは日頃の訓練をみんなで取り組むということが大事だと思います。それも消防団だけじゃなくて、自治会の人達もみんな巻き込んで、地域全体で行うことが大事だと思います。内容もより実践的なものにしていかないといけません。実際に災害が起きたら、想定していたとおりにはならないと思うので、具体的なシミュレーションをしたうえで、○○の道路がふさがっている場合は、○○から機材を持ってくるとか、いろんな想定をして訓練しておく必要があると思います。他にも、例えば、高齢で足の悪い人にどう避難してもらうかという課題も、どこの家なら車いすを持っているとか、そういう情報があるだけでも避難の仕方が変わると思います。だから地域のつながりは密にしないといけないと思いますが、実際にはなかなか難しいですね。近所付き合いはどんどんなくなっていっていますし、どこに誰が住んでいるか分からない人も多くなっていますから。消防団としては、そういう地域のつながりづくりも含めてしっかりやっていかないといけないと思います。
住民の方は防災訓練等に積極的に参加されていますか。
宗國さん:僕の管轄の地区では、昔より積極的に参加されていると思います。もっと参加者は減っていくのかなと思っていましたが、少しずつ増えてきていますね。年齢も若い人からご高齢の方まで、来られる人は来てるような印象があります。僕らが若い頃と比べたら、若い人の意識が高いのだと思いますね。自分たちの時代は地震なんて起きないと思っていたけど、最近は災害がよく起きていて、映像等で見聞きしているから意識が高いんですかね。でも、外国の方はあまり参加されていないです。長田区は外国の方も大勢住んでいますから、今後は外国の方も巻きこんで訓練をしていかないといけないと思っています。二度と地震には遭いたくありませんが、やっぱり起きる可能性が高いものなので、しっかり備えないといけません。
訓練をする上で大事にしていることはありますか。
宗國さん:訓練に新しい人が参加してくれる場合、そういった人達とのコミュニケーションは大事にしていますね。昔から訓練に参加している人達とは既にコミュニケーションをとっているから考え方が分かるのですが、新しい人たちと連携するためにも積極的な声掛けが重要だと思います。難しいことだと思いますが、若い人たちが積極的に意見を言えるような環境を作ってあげないといけないと思います。
震災を知らない10代20代へのメッセージをお願いします。
宗國さん:今後、絶対に地震は起きます。それはもう間違いないです。日本中どこに行ってもあると思って良いと思います。なので、日頃から交差点で信号を待っている時等でも、仮に今ここで車が飛び出してきたらどうしようとか、ならあまり前にいかない方が良いのかな、もう少し後ろに立った方がいいかなとか、危機管理の意識を自分なりにもってほしいですね。僕はそれが大事だと思います。あと、僕はホテルに泊まる時でも、避難経路は絶対に確認していますね。AEDがある場所も覚えておく。それにホテルでも湯船に湯を溜めておきますね。火事があった時に、すぐに水を汲んで対処できますから。そういった事前の備えをしてもらいたいです。
なんせ地震は絶対起きるということ。そのことを自分の代はもちろん、さらに次の代にも伝えていって下さい。
宗國さん:消防団は、昼間は自分の仕事をしていて、それ以外の時間で火災や台風が発生した場合などに、決められた管轄内で出動します。私が在籍している消防団は、市街地が管轄で、有事の際は消防車両がたくさん出動しますので、消火活動までは行いませんが、他の車が入れないように交通整理したり、一般の方が危険なところまで入らないように防護線を張ったりしています。また、消火活動後、放水ホースの撤収等をして、次の火災が起きた時にできるだけ早く現場に行けるように片付けたりもしています。あとは地域の防災福祉コミュニティ等の防災活動とか避難訓練とかで、消火器の指導や放水訓練も行ったりしていますね。地域の防災活動や消防職員のお手伝いをする感じです。